朝鮮とペルシャ湾に介入<軍事力を25%削減。アメリカの介入が考えられる地域は、朝鮮とペルシャ湾> 1989年11月4日、土曜日の朝、コリン・パウエルは 、統合参謀本部議長として、今日の世界に起こっているこ とに対応したコースに軍を乗せることが自分の任務である と考え、今後5年間に起こると自分が予想することを明ら かにし、この予想にあわせて、陸海空軍および海兵隊の設 計を試みます。 ソ連については、野党の台頭、欧米の投資、市場経済、ゴ ルバチョフがいぜんとして最高権力を掌握、軍事予算面で 40%、人員面で50%の削減をおこない、海軍の造船に 上限を設定して、ソヴィエト軍に厳しく防衛の姿勢をとら せる、と予想しました。 1994年までに、東ヨーロッパからソヴィエト軍がいな くなり、ワルシャワ条約は他のものにとってかわられ、東 ドイツは消滅し、東欧ブロックの国々は、すべて多党制度 の中立国家となる。ドイツは再統一され、ベルリンは一つ になる。 南アフリカでは、1994年までに黒人が多数を占める政 府が出現し、ラテンアメリカでは、キューバが孤立、問題 にされなくなる。問題をかかえる場所は、朝鮮、レバノン 、ペルシャ湾、フィリピンとし、アメリカの介入が考えら れるところとして、朝鮮、ペルシャ湾をあげました。 これらの予測にあわせて、アメリカ軍がそれに準じた力と 構造をもてるようにした。海軍の艦船を550隻から 450隻に、ヨーロッパの陸軍を30万から7万5000 ないし10万人に減らし、現役陸軍を76万から 52万5000人に削減する。海兵隊と空軍および予備役 も同様に減らす。 1990年2月、パウエルは、「基礎軍事力(ベース・フ ォース)」というタイトルで、各軍にとっての最低水準の 軍事力について、チェイニーと大統領に説明しました。 パウエルは、軍事力を現在のレベルより25%削減しても 安全と考えていました。パウエルは、ベース・フォースの 基準として、もっぱら脅威に基礎を置く軍から、脅威と能 力に基礎を置く軍への転換という考えをしめしました。 ソ連からの古い脅威には直面しないかもしれないが、ある 基本的な能力は維持しなければならない。潜在的なソヴィ エトによる侵攻に応じるために数百万トンの物質を運ぶ特 別な空輸はもはや必要ないかもしれないが、いぜんとして 世界中の予測できない問題地域に、莫大な量の備蓄物を輸 送する能力は必要とする。 そこで、4つの基本的な任務を遂行できる軍という考えを 提示しました。 第1は大西洋をはさんで戦う任務。 第2は太平洋をはさんで戦う任務。 第3は、パナマで展開したような紛争地域にすみやかに展 開するための国内の緊急事態対策軍。 最後は、核をもつ敵を抑止できる決定的な核戦力。 |